ご承知のように新型コロナウイルスの影響は、映画にとっても甚大です。劇場が休館を余儀なくされたり、たとえ上映を続けていても観客が安心して鑑賞することができなければ、いずれは劇場だけでなく配給会社も製作者も閉館や廃業ということになりかねません。いま脅威にさらされているのは、観客、劇場、配給、製作者によってまわっている「映画の経済」です。では、新作映画を楽しみにしている観客、劇場、配給、製作者、みんなにとって何かよいことができないか。新作『精神0』の公開を控えた想田和弘監督と配給会社東風のスタッフで相談しました。
そこで予定していた劇場公開と並行して、インターネット上に「仮設の映画館」をつくってみることにしました。ここには賛同してくれた全国各地の劇場が軒を連ねています。観客は、どの映画館で作品を鑑賞するのかを選ぶことができます。そして、その鑑賞料金は「本物の映画館」の興行収入と同じく、それぞれの劇場と配給会社、製作者に分配される仕組みです。
これは、新型コロナウイルスの脅威によって停滞している「映画の経済」を回復させるための試みの一つです。そして、この認識と方法とを全国の劇場、配給会社、製作者、そして映画ファンのみなさんと広く共有することによってはじめて「仮設の映画館」は有効かつ持続可能な施策となり、ともにこの状況を乗り切ることができるのではないか。そのように考えています。
さてまずは最寄りの劇場へ。そして、たまには懐かしい街の劇場を訪ねてみてください。もちろん状況が改善したら、ぜひ「本物の映画館」に足をお運びください。ここはあくまで「仮設の映画館」です。
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